運命 -巡り合せ-
運命を信じるか信じないか。 どう考えるかは皆さん次第である。 私自身は、余り運命というものを気にしない様にしているが・・・。 気にしない様にしているが、と書いたくらいなのでバッサリ切っている訳でもない。 運命の存在を感じるのは、決まって失敗を嘆く時や人との出逢いである。
社会人になって間もなく、私は人身事故を起こした。 相手は大学生で、大腿骨を単純骨折、退院までに半年近くを要した。 当然の事ながら、救急車による応急処置や警察による実況検分が長時間続いた。 事故発生は、夜10時過ぎ。 これらの対応が終わってこの大学生が運ばれた病院に駆けつける事が出来たのは朝方4時をまわっていた。 自分の愛車は、まず大学生をボンネットで跳ね上げ、その後にフロントガラスに直撃、最終的に天井でバウンドさせた為、何れの箇所も大破していた。 相手の自転車は、フレームが真っ二つに折れ曲がる程の衝撃を受けていた。 今から18年前の事だから時効として書くが、道路に横たわる大学生はショック性の激しい震えを伴ない口から泡を吹いていた。 脚は通常有り得ない方向に曲がっていた。 それを見た時、正直ダメだと思った。
しかし、私の免許には傷が付かなかった。 その理由は、この事故は2つの信号無視が重なった事が原因で発生したと判断された為だった。 その2つとは、怪我をした大学生と暴走族(バイク)によるものだった。 状況はこうだ。 私がスピード違反の取り締まりに遭遇しない常識の範囲内のスピードで走行し、車列の先頭で交差点に進入した際、前方左手からこの大学生が交差点目掛けて信号無視で進入。 一方、前方右手からは暴走族も信号無視で交差点に直進。 爆音を立てていた暴走族にいち早く気付き、私は急ブレーキを踏んだが、不幸な事に緩やかな下り坂だったという事もあって車は若干スリップし制御不能に。 滑っている最中に、左手から信号無視で進入してきた大学生が現れ激突。 あとは上述の通りだ。 この大学生は未成年であったが、入学した大学の歓迎会で飲酒をしていた。 「フラフラしながら交差点に進入してきた」は、交差点付近にいた証言者の話である。
免許が傷付かなかった事から、潔白が証明された訳だが、怪我を負わせた事によるお見舞いは数か月続いた。 その都度、大学生からは聞くに堪えない中傷を頂戴した。 勿論、自分が気に入っていた愛車も大きな傷を負った。 それらは全て私の心をヘシ折ってくれた。
事故発生時間は既に車の量は減っていたので、相応のスピードで走行する事が可能だった。 しかし、あの夜の私は異常なまでに常識の範囲内の走行を試み、燃費走行に徹していた。 当時の私としては有り得ない事だった。 その結果が事故という結末だった。 運命に導かれてしまったというのが私の解釈。 いつも通りにしておけば、あの交差点を何事もなく通過していたはずだった。
同じ様な経験はまだある。 携帯電話というものが普及していない時代に、人が溢れる新宿で待ち合わせをしていた。 上手く合流出来ないまま数時間が経ち、今夜はダメかと諦めかけた時、時間が止まる。 待っていた相手が、人混みの向こうに突然現れた事が何度かある。 幾千もの組み合わせがある中で、あの瞬間にあの場所にいたから遭遇できた。 勿論、諦めて帰っていれば会う事すら出来なかった。 こういった事も運命だったと信じている。
あと数分早く着ていれば、意中のあの女性に会えた。 会えなかったけれど、その場所にいた痕跡は明らかにある。 こう嘆くのが嫌ならば、早く来るしかない。 その一瞬は二度とやってこない。 だから大切にしないといけない。 求職や転職活動も同じ事である。
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